Tweet 短編小説 誕生日の花をテーマに短篇小説を作成 『赤いチューリップの約束』 http://nspc.kojyuro.com/0131.html
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![]() 誕生花 赤いチューリップ 花言葉 「真実の愛」 1月31日の誕生花はチューリップです。チューリップはユリ科の植物で、花期は3月〜5月です。チューリップは数ある花の中でも春を代表する花で、花壇や庭、公園などさまざまな場面で美しい花姿を見せてくれます。赤色のチューリップは、秋植え球根の中でもトップの品種数を誇るチューリップの中でも一番ポピュラーかもしれませんね。 ![]() |
『赤いチューリップの約束』春の風が街をやさしく撫でる三月の終わり、大学の構内にある花壇には、今年も赤いチューリップが咲き始めていた。陽射しを受けて輝くその花は、まるで誰かの想いが形になったように、まっすぐに空を見上げていた。 文学部の四年生・美咲(みさき)は、卒業式を目前に控えたある日、花壇の前で立ち止まった。 「…今年も、咲いたんだ」 赤いチューリップは、彼女にとって特別な花だった。二年前の春、同じゼミの先輩・悠人(ゆうと)と初めて話したのが、この花の前だった。 「この花、赤いチューリップって言うんだ。花言葉は“愛の告白”。…でも、僕にはまだ早いかな」 そう言って照れ笑いした悠人の言葉が、今も美咲の胸に残っている。 彼は卒業後、地方の出版社に就職し、東京を離れた。連絡は続いていたけれど、忙しさの中で次第に途切れてしまった。 それでも美咲は、毎年赤いチューリップが咲く頃になると、この花壇に足を運んだ。あの日の会話を思い出しながら。 今年もまた、赤いチューリップが咲いた。美咲は、花にそっと触れながらつぶやいた。 「…もうすぐ、私も卒業だね」 すると、背後から声がした。 「美咲?」 振り返ると、そこには懐かしい顔があった。 「…悠人さん?」 少し大人びた表情で、でも変わらぬ優しい目をした彼が、そこに立っていた。 「卒業、おめでとう。…どうしても、伝えたくて」 美咲は驚きと嬉しさで、言葉が出なかった。 「この花壇、覚えてる?…君と初めて話した場所」 「もちろん。…毎年、来てたんです。あなたに会える気がして」 悠人は、ポケットから小さな花束を取り出した。 「これ、赤いチューリップ。…君に贈りたくて育てたんだ」 美咲は、胸がいっぱいになった。 「ありがとう。…すごく嬉しいです」 悠人は、少し照れながら言った。 「これからは、離れずに春を迎えたい。…美咲と一緒に」 美咲はうなずいた。 「はい。…赤いチューリップのように、まっすぐに」 それから二人は、少しずつ距離を縮めていった。季節の花を眺めながら、未来の話をし、互いの夢を語り合った。 そして一年後の春。大学の花壇には、今年も赤いチューリップが咲いていた。 「美咲、今年も咲いたね」 「うん。…あなたと一緒に育てたから」 悠人は、ポケットから小さな箱を取り出した。 「この花のように、君と未来を咲かせたい。…結婚してください」 美咲は、涙をこらえながら笑った。 「はい。…あなたの告白が、私の春になる」 赤いチューリップの花が、春の光の中で鮮やかに揺れ、二人の未来をやさしく祝福していた。 |
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1月31日の誕生花はチューリップです。チューリップはユリ科の植物で、花期は3月〜5月です。チューリップは数ある花の中でも春を代表する花で、花壇や庭、公園などさまざまな場面で美しい花姿を見せてくれます。赤色のチューリップは、秋植え球根の中でもトップの品種数を誇るチューリップの中でも一番ポピュラーかもしれませんね。