Tweet 短編小説 誕生日の花をテーマに短篇小説を作成 『万両の庭で』 http://nspc.kojyuro.com/0123.html
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![]() 誕生花 マンリョウ 花言葉 「陰徳」 1月23日の誕生花はマンリョウです。サクラソウ科の低木で、冬になると赤い実をつける植物です。マンリョウの艶やかな赤い実はお正月の演技打つとしても定番です。センリョウと並んで、庭木として愛されています。湿気を好むので根腐れを起こしにくく、初心者でも育てやすいのが特徴です。 ![]() |
『万両の庭で』冬の朝、霜が降りた庭に、赤い実をつけたマンリョウが静かに揺れていた。寒さの中でも葉を落とさず、鮮やかな実を守るその姿は、まるで誰かを陰ながら支えるような優しさを感じさせる。 庭師として働く真帆(まほ)は、古民家の庭園でマンリョウの剪定をしていた。年末の空気はどこかせわしなく、けれどこの庭だけは時間がゆっくり流れているようだった。 「今年もきれいに実ったね」 そう声をかけてきたのは、建築士の悠人(ゆうと)だった。古民家の改修を担当していて、真帆とはこの庭で何度も顔を合わせていた。 「マンリョウって、“寿ぎ”って花言葉があるんですよ。…年の終わりにぴったりですよね」 悠人は、少し驚いたように笑った。 「そうなんだ。…真帆さんは、植物の言葉をよく知ってるね」 「植物って、言葉を持ってるんです。静かだけど、ちゃんと伝えてくる」 それから、二人は庭の手入れを通して少しずつ距離を縮めていった。真帆は植物の話を、悠人は建築の話を。異なる分野だけど、どこか通じ合うものがあった。 ある日、悠人がぽつりとつぶやいた。 「この庭、完成したら終わりなんだよね。…真帆さんと会うのも、もう少しか」 真帆は、マンリョウの実を見つめながら言った。 「でも、植物は毎年実をつけます。…また、来年も」 悠人は、少し照れたように笑った。 「じゃあ、来年もこの庭で会えるように、何か残しておこうかな」 それから数週間後、改修工事は完了し、古民家はカフェとして生まれ変わった。真帆は庭の管理を任されることになり、悠人は別の現場へと移っていった。 年が明け、春が近づく頃。庭のマンリョウは赤い実を落とし、静かに新しい芽を育て始めていた。 ある日、カフェの庭に一人の男性が現れた。 「…マンリョウ、今年も元気だね」 振り返ると、そこには悠人が立っていた。 「悠人さん…!」 「約束、覚えてたよ。…来年もって言ったから」 真帆は、胸がいっぱいになった。 「私も、ずっと待ってました。…この庭で」 悠人は、ポケットから小さな設計図を取り出した。 「これ、庭の東側に小さな温室を作る案。…真帆さんと一緒に植物を育てたくて」 真帆は、涙をこらえながら笑った。 「私も、もっとこの庭を育てたい。…あなたと一緒に」 それから二人は、温室の設計と庭の手入れを通して、さらに距離を縮めていった。季節の移ろいを感じながら、植物と未来を育てていった。 そして一年後の冬。マンリョウは、今年も赤い実をたわわにつけていた。 「真帆、今年もきれいに実ったね」 「うん。…あなたと一緒に育てたから」 悠人は、ポケットから小さな箱を取り出した。 「この庭で出会えてよかった。…これからも、ずっと一緒に育てていきたい」 真帆は、涙をこらえながらうなずいた。 「はい。…マンリョウのように、静かに、でも確かに」 マンリョウの赤い実が、冬の光の中で静かに揺れ、二人の未来をやさしく祝福していた。 |
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1月23日の誕生花はマンリョウです。サクラソウ科の低木で、冬になると赤い実をつける植物です。マンリョウの艶やかな赤い実はお正月の演技打つとしても定番です。センリョウと並んで、庭木として愛されています。湿気を好むので根腐れを起こしにくく、初心者でも育てやすいのが特徴です。