Tweet 短編小説 誕生日の花をテーマに短篇小説を作成 「雪解けのミスミソウ」 http://nspc.kojyuro.com/0105.html
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![]() 誕生花 ミスミソウ 花言葉 「信頼」、「自信」 1月5日の誕生花はミスミソウです。ミスミソウは日本が原産のキンポウゲ科の植物で、主に雪が積もる地域に咲きます。漢字では「雪割草」と書き、厳しい寒さに耐え、早春に雪の割るように花を咲かせる華蓮な花です。 ![]() |
「雪解けのミスミソウ」まだ冬の名残が色濃く残る三月の山道。 新菜が探すのは、山裾の陰でひっそりと花開く「ミスミソウ」――雪割草とも呼ばれる、可憐な春の使者。 新菜の幼なじみ、悠斗(ゆうと)は小さなころから植物好きで、高校時代には近所の山を一緒に歩くのが恒例だった。 「雪解け一番に咲くミスミソウを見つけた人が、その年一番願い事を叶えられるんだって」 そんな言い伝えを口にしながら、競うように崖沿いを探し回る日々―― けれど去年、新菜は自分の想いをうまく伝えられないまま、送り出してしまった。 それでも新菜は諦めきれずに、一人で例年通りの道を辿る。 けれどその声に振り向いたのは、予想もしなかった青年だった。 驚きと戸惑いが一気に胸に押し寄せた。 「聞いてないよ…今年は帰らないって」 「どうしても、伝えたいことがあって――それで、サプライズで戻ってきた」 優しく差し出された彼の手には、小さなミスミソウの花。 寒さと照れ臭さで顔を赤くしている新菜を見て、悠斗は言う。 「この花の花言葉、知ってる? “はにかみ”“自信”“優美”……全部、新菜に似てる気がしてたんだ」 「そんなことないよ、私は弱くて…」 「ずっと言えなかったけど――新菜がいれば、どんな季節も乗り越えられる気がする。だから…これからも一緒に春を迎えていこう」 涙がこぼれそうになって、新菜は俯く。 ミスミソウの間に膝をつき、悠斗の手を握った。 「私、悠斗と出会えて良かった。来年も、再来年も、一緒に見に来たい」 二人の影が雪融けの水たまりににじみ、淡く重なって揺れる。 新菜はそれから、思いきって町でフラワー教室のアシスタントを始めた。 数年後、町の古い家屋を改装した「季節のカフェ」を始めることになった二人。 春のある朝―― 「来年も、その次の春も、この花と一緒に歩こうね」 「もちろん」 新菜と悠斗の影を包むやさしい春風の中、今年もミスミソウは凜として咲いていた。 |
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1月5日 誕生花|ミスミソウ
1月5日の誕生花はミスミソウです。ミスミソウは日本が原産のキンポウゲ科の植物で、主に雪が積もる地域に咲きます。漢字では「雪割草」と書き、厳しい寒さに耐え、早春に雪の割るように花を咲かせる華蓮な花です。