Tweet 短編小説 誕生日の花をテーマに短篇小説を作成 「ヒナギクの詩 〜春の約束〜」 http://nspc.kojyuro.com/0104.html
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ヒナギク 白い花 フラワーズ - Pixabayの無料写真

誕生花 ヒナギク
花言葉 「希望」、「平和」


1月4日の誕生花はヒナギクです。ヒナギクはヨーロッパ及び地中海沿岸が原産の多年草です。ヨーロッパではデイジーと呼ばれており、日本には明治時代初めに伝来しました。お雛様のような小さく可愛らしい見た目〜、「雛菊(ヒナギク)」と和名がつけられたそうです。

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「ヒナギクの詩 〜春の約束〜」

春の訪れを告げる風が、町の公園をそっとぬけるころ。
まだ肌寒い空気のなか、芝生には白く愛らしいヒナギクが星屑のように咲き始めていた。
真澄は、図書館の仕事を終えた帰り道、その公園へ立ち寄るのが習慣だった。
好きな詩集を開きながらベンチに座る。ヒナギクは大昔から「純潔」や「希望」――春を待ち望む人々の象徴だった。

ある年の春、真澄はそこで青年・大地と偶然出会った。
大地は仕事帰りにカメラを提げて公園のヒナギクを撮影していた。
最初は「こんにちは、ヒナギクがきれいですね」という何気ないあいさつからだった。

二人は、ヒナギクの周りで自然に言葉を交わすようになった。
春のやわらかな風が、いつしか二人の距離もそっと近づけていった。


大地は草花の写真を撮るのが趣味だった。
ある日「好きな花は何ですか?」と聞かれた真澄は、迷いなく「ヒナギク」と答えた。
「ヒナギクは目立たず、でもどこか芯があって好きなんです」
「真澄さんみたいだ」と、大地は冗談めかして微笑む。

しばらくして、大地は真澄に「好きな本の詩を教えて」と頼んだ。
真澄はお気に入りの詩を教えた。
後日、大地は小さな紙片にその一節を書いて真澄に渡した。

『きみの瞳に ヒナギクの野のかがやき』

その言葉を胸に、真澄は公園で大地と過ごすたび心がほころびていくのを感じていた。


季節は巡り、二人は共に日常を分かち合う時間が増えていった。
公園で写真を撮ったり、図書館で本を選んだり――
互いの存在はいつしか「いなくてはならない人」になっていた。

春の終わり、大地は突然転勤の辞令を受ける。
「来月から関西の支社に行くことになったんだ」
真澄は驚いて、涙をこらえながら「応援しています」と笑顔で送り出す決心をする。

別れの前日、大地はヒナギクのある公園へ真澄を誘った。
ベンチに並んで座り、大地は静かにヒナギクを一輪摘み、真澄に手渡した。

「遠くにいても、この花を見るたび真澄さんのことを思い出すよ」
「私も、同じです」
「春が来たら、きっと戻ってくる。約束する」

二人はヒナギクを間に未来を誓い合った。


翌春。
大地からは何の連絡もなかった。
真澄は公園でヒナギクの花を見つめて、静かに待ち続けた。

ある日、図書館に一冊の新刊が届く。
タイトルは『ヒナギクの詩』。カバーには見覚えのある公園のヒナギク。
その本の著者は大地だった。

ページを開くと、真澄への献辞があった――

『このヒナギクの咲く公園で毎日あなたを思い、言葉を紡ぎました。
たとえ離れていても、真澄への愛は春のヒナギクのように咲き続けています。』

真澄は涙を流しながら本を抱きしめ、公園へ向かった。


ヒナギクの花の前。ベンチに座る真澄のもとへ、あの日と同じ声が届いた。

「約束、守ったよ」

公園に、大地が帰ってきた。

「連絡できなくてごめん。でも――ずっと真澄さんのために詩を書き続けていた」

大地はヒナギクの花を一輪手にし、真澄にそっと差し出した。

「君の笑顔は、僕にとって世界で一番のヒナギクの花だよ」

ふたりは春の日差しを浴びながらベンチに腰を並べた。

静かな奇跡のような春。
ヒナギクは、これからも純粋な希望と真実の愛を二人に贈り続けるだろう。

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1月4日 誕生花|ヒナギク

ヒナギク 地植え 赤い花 白い花 ピンク色の花

Photo by さやかちゃんさん@GreenSnap

誕生花
ヒナギク
花言葉
「希望」、「平和」

1月4日の誕生花はヒナギクです。ヒナギクはヨーロッパ及び地中海沿岸が原産の多年草です。ヨーロッパではデイジーと呼ばれており、日本には明治時代初めに伝来しました。お雛様のような小さく可愛らしい見た目〜、「雛菊(ヒナギク)」と和名がつけられたそうです。

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