Tweet 短編小説 誕生日の花をテーマに短篇小説を作成 『スノーフレークの記憶』 http://nspc.kojyuro.com/0128.html
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![]() 誕生花 スノーフレーク 花言葉 「穢れなき心」、「純潔」 1月28日の誕生花はスノーフレークです。スノーフレークヒガンバナ科の多年草です。スイセンに似たすらりとした葉にスズランのようなバル型の花を下向きに咲かせます。白い花びらの先端に緑色の斑点があり、とても愛らしい姿をしています。スノードロップと似ていますが、スノーフレークには花びらに斑点が入ることで見分けることができます。 ![]() |
『スノーフレークの記憶』春のはじまり、まだ肌寒さの残る三月の午後。大学の裏庭にある小さな花壇には、今年もスノーフレークが咲き始めていた。白く小さな花が、緑の細い茎の先にうつむくように咲き、まるで雪の雫が草の上にとどまっているようだった。 文学部の四年生・澪(みお)は、卒業を目前に控えたある日、その花壇の前で立ち止まった。 「…今年も、咲いたんだ」 スノーフレークは、彼女にとって特別な花だった。二年前の春、同じゼミの先輩・悠真(ゆうま)と初めて話したのが、この花の前だった。 「この花、スノーフレークって言うんだ。花言葉は“純粋”と“記憶”。…なんだか、澪さんに似てる」 そう言って微笑んだ悠真の言葉が、今も澪の胸に残っている。 彼は卒業後、地方の図書館に就職し、東京を離れた。連絡は続いていたけれど、次第に途切れてしまった。 それでも澪は、毎年スノーフレークが咲く頃になると、この花壇に足を運んだ。あの日の会話を思い出しながら。 今年もまた、スノーフレークが咲いた。澪は、花にそっと触れながらつぶやいた。 「…もうすぐ、私も卒業だね」 すると、背後から声がした。 「澪?」 振り返ると、そこには懐かしい顔があった。 「…悠真さん?」 少し大人びた表情で、でも変わらぬ優しい目をした彼が、そこに立っていた。 「卒業、おめでとう。…どうしても、伝えたくて」 澪は驚きと嬉しさで、言葉が出なかった。 「この花壇、覚えてる?…君と初めて話した場所」 「もちろん。…毎年、来てたんです。あなたに会える気がして」 悠真は、ポケットから小さな花束を取り出した。 「これ、スノーフレーク。…君に贈りたくて育てたんだ」 澪は、胸がいっぱいになった。 「ありがとう。…すごく嬉しいです」 悠真は、少し照れながら言った。 「これからは、離れずに春を迎えたい。…澪と一緒に」 澪はうなずいた。 「はい。…スノーフレークのように、静かに、でも確かに」 それから二人は、少しずつ距離を縮めていった。季節の花を眺めながら、未来の話をし、互いの夢を語り合った。 そして一年後の春。大学の花壇には、今年もスノーフレークが咲いていた。 「澪、今年も咲いたね」 「うん。…変わらず、きれい」 悠真は、ポケットから小さな箱を取り出した。 「この花のように、君と未来を咲かせたい。…結婚してください」 澪は、涙をこらえながら笑った。 「はい。…あなたの記憶が、私の春になる」 スノーフレークの花が、春の光の中でふわりと揺れ、二人の未来をやさしく祝福していた。 |
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1月28日の誕生花はスノーフレークです。スノーフレークヒガンバナ科の多年草です。スイセンに似たすらりとした葉にスズランのようなバル型の花を下向きに咲かせます。白い花びらの先端に緑色の斑点があり、とても愛らしい姿をしています。スノードロップと似ていますが、スノーフレークには花びらに斑点が入ることで見分けることができます。