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古くから愛された日本原産の「ツバキ」|生薬ものしり事典|元気通信|養命酒製造株式会社

誕生花 椿(ツバキ)
花言葉 「控えめな素晴らしさ」、「気取らない優美さ」


1月2日の誕生花はツバキです。ツバキはツバキ科の常緑高木で、光沢のある濃い緑色の葉を持ち冬〜春にかけて美しい花を咲かせます。日本では古く〜親しまれてきた木で、日本を代表する美しい花です。

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「椿の咲く約束」

冬の終わり、冷たい風が吹きつける坂道を彩るように、紅い椿の花が静かに咲き誇っていた。その花の傍を、美佐はゆっくりと歩いた。
椿の花言葉は「控えめなやさしさ」――どこか彼の面影を思い出す。

三年前の春、美佐と晶は大学の写真サークルで出会った。人前に出るのが苦手な美佐と、誰とでも気さくに話す明るい晶。初対面のとき、美佐は晶にカメラのシャッターを押してもらうようお願いされた。「椿が綺麗に咲いてるから一枚撮ってほしくてさ」。そういいながら、にこやかに椿の木の下に立った晶の無邪気な笑顔は、今でも記憶の奥で輝いている。

二人はすぐに打ち解けた。桜の花見、夏の海、秋の紅葉と、一緒に写真を撮りに出かける季節が続いた。
ただ、美佐の心にはいつも小さな不安があった。誰からも好かれる晶と、自分のような内向的な存在が並んで歩いていいのだろうか、と。

ある冬の日、二人は街のはずれの神社に出かけた。参道沿いの椿が満開を迎える頃だった。
「椿、好きなんだ」
晶が花を見上げて微笑む。
「厳しい冬にも負けずに咲くから、すごいなって思う」

その言葉を聞いたとき、美佐はふいに告白しそうになった。けれど、喉元まで出かかった想いは、結局寒さのせいにして飲み込んだ。


卒業を間近に控えたある日、突然、晶が留学すると告げた。
「前から決めてたんだ。カメラを勉強しに本場に行きたいって」

美佐は驚いたが、精一杯「頑張って」と笑った。本当は寂しさで胸がいっぱいだった。
出発の日、二人はいつもの椿が咲く神社で会った。
「花が散る前に帰ってくるよ」
晶はそう言って、約束の証のように一枚の写真を美佐に渡した。そこには満開の椿と二人が笑いあう姿が映っていた。


晶が去った後、美佐の日々は空虚だった。晶のSNSから流れてくる異国の景色や新しい友人たちとの写真を、眩しさと切なさで見つめる毎日。
やがてメッセージのやり取りも少なくなり、美佐は次第に自分の内に閉じこもっていった。

一方で椿だけは、毎年変わらずに花を咲かせていた。美佐は晶と撮った写真を胸に、お守りのように持ち歩いていた。


二年が経った春の終わり、美佐のもとに晶の訃報が届いた。
車の事故だった――信じられなかった。あの日交わした「椿が散る前に帰る」という約束は、永遠に果たされなくなったのだ。

しばらくの間、美佐は何もできなかった。写真もカメラも椿の花も、見るのが苦しかった。


それでも、時間はわずかずつ美佐の心を溶かしていった。
ある年の冬、知人の誘いで写真展に足を運ぶと、そこには「遥か遠くの約束」と題されたシリーズが展示されていた。
作者は――晶。日本に戻る直前までに撮った椿の花、各地の厳冬の中で咲く椿、そして美佐と歩いた神社の椿の写真もあった。

説明文には、こんな言葉が記されていた。

「椿は、深い冬に咲く強さと美しさを持ちながら、儚くも散っていく。その一瞬を、愛する人と見届けられたなら、それだけで人生は幸せだ――そう信じて、僕はシャッターを切った。」

美佐の瞳から、静かに涙がこぼれた。


それから毎年、椿の花が咲くとき、美佐は神社を訪れた。
ある年の冬、その参道で一人の青年と出会った。
彼は晶の写真展で出会った人で、椿の写真をとても気に入っていると話してくれた。

美佐と彼は椿の花を介して自然に会話が弾むようになり、カメラや風景の話、椿に込めた思いを少しずつ分かち合うようになった。青年は静かながらも優しい眼差しを持ち、どこか晶と似た雰囲気があった。

冬の終わり、二人は神社の椿の前で並んで写真を撮った。
青年は微笑みながら言った。
「この花、君のために咲いているみたいだね」

それを聞いて美佐は、穏やかに微笑んだ。

「そうかもしれない。でも、きっと、みんなを励ますために咲いてるんだよ」

それは悲しみの記憶を抱えていた美佐が初めて心から口にした、新しい希望の言葉だった。
青年の手が、そっと美佐の手に重なる。

「来年も、この椿を一緒に見よう」

二人の影が椿の下できれいに重なった。春を前にして、やわらかな雪が舞い始めていた。
椿の花は、強く、そして優しく咲き続けていた。

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1月2日 誕生花|椿(ツバキ)

ツバキ 白い花

Photo by しげちゃんさん@GreenSnap

誕生花
椿(ツバキ)
花言葉
「控えめな素晴らしさ」、「気取らない優美さ」

1月2日の誕生花はツバキです。ツバキはツバキ科の常緑高木で、光沢のある濃い緑色の葉を持ち冬〜春にかけて美しい花を咲かせます。日本では古く〜親しまれてきた木で、日本を代表する美しい花です。

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