Tweet 短編小説 誕生日の花をテーマに短篇小説を作成 『胡蝶の約束』 http://nspc.kojyuro.com/0117.html
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50
![]() 誕生花 胡蝶蘭 花言葉 「幸福が舞い込む」、「清純」 1月17日の誕生花はコチョウランです。胡蝶蘭はラン科の多年草です。豪華な花姿から、お祝いやギフト、室内装飾に使われる高級な花として有名です。最近では、ミディサイズやミニサイズの胡蝶蘭も生み出され、ギフトだけではなくカジュアルフラワーとして人気が高まっています |
『胡蝶の約束』春の光がやわらかく差し込む午後、都心のギャラリーカフェ「ルミエール」では、季節の花をテーマにした展示会が開かれていた。白く優雅なコチョウランが、窓辺に並び、まるで蝶が舞っているように空間を彩っていた。 カフェで働く詩織(しおり)は、その花に特別な思いを抱いていた。 大学時代、卒業制作展で出会った青年・悠真(ゆうま)が、彼女に初めて贈ってくれた花がコチョウランだった。 「君の絵を見て、蝶が舞ってるみたいだと思った。…だから、胡蝶蘭を」 その言葉に、詩織は胸が高鳴った。彼は美術科の学生で、繊細な色使いと静かな情熱を持っていた。 それから二人は、展示会の準備や作品制作を通して、少しずつ距離を縮めていった。 けれど、卒業後、悠真は海外の美術大学へ進学することになった。 「離れても、絵を通してつながっていたい。…いつか、また一緒に展示会を開こう」 そう言って、彼は再びコチョウランを贈ってくれた。 「この花言葉、知ってる?“幸福が飛んでくる”って。…君に、ずっと飛び続けてほしい」 詩織は、その言葉を胸に刻み、彼を見送った。 それから数年。詩織はカフェで働きながら、自分の絵を描き続けた。窓辺には、毎年コチョウランを飾り、悠真との約束を思い出していた。 ある春の日。カフェに一人の男性が現れた。 「…コチョウラン、まだ飾ってるんですね」 その声に、詩織は振り返った。 「…悠真さん?」 そこには、少し大人びた表情で、でも変わらぬ優しい目をした悠真が立っていた。 「帰ってきました。…約束、果たしに」 詩織は、胸がいっぱいになった。 「ずっと、待ってました。…この窓辺で、あなたの花と一緒に」 悠真は、ポートフォリオを差し出した。 「これ、僕の新作です。…君と一緒に展示したくて」 詩織はページをめくりながら、涙をこらえた。 「私も、描いてました。…あなたと並べる日を夢見て」 それから二人は、共同展示会の準備を始めた。作品を並べ、空間を彩り、コチョウランを中心に据えた。 展示会の初日。ギャラリーには、春の光と花の香りが満ちていた。 「詩織さん、これからも一緒に描いていきたい。…絵も、未来も」 悠真の言葉に、詩織は笑顔でうなずいた。 「はい。…幸福が、ずっと飛び続けるように」 コチョウランの花が、春の風に揺れ、二人の未来をやさしく祝福していた。 |
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50
1月17日の誕生花はコチョウランです。胡蝶蘭はラン科の多年草です。豪華な花姿から、お祝いやギフト、室内装飾に使われる高級な花として有名です。最近では、ミディサイズやミニサイズの胡蝶蘭も生み出され、ギフトだけではなくカジュアルフラワーとして人気が高まっています。