Tweet 短編小説 誕生日の花をテーマに短篇小説を作成 『オンジウムのダンス』 http://nspc.kojyuro.com/0115.html
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![]() 誕生花 オンシジウム 花言葉 「清楚」、「一緒に踊って」 1月15日の誕生花はオンシジウムです。オンシジウムはラン科の多年草で、ヒラヒラとした見た目が印象的な花です。品種が多く、その数は400以上にも登ります。小さな花をたくさんつける小輪種から、ボリュームのある大輪種までさまざまで、カラーバリエーションも豊富です。 ![]() |
『オンジウムのダンス』春の光が街を包み込む午後、駅前のカルチャーセンターでは、週末限定のフラワーアレンジメント教室が開かれていた。教室の窓辺には、黄色い小さな花がふわりと舞うように咲いていた。 「オンジウムっていうんですよ。まるで踊ってるみたいでしょ?」 講師の言葉に、参加者たちは笑顔を浮かべた。 その中に、大学四年の花音(かのん)がいた。就職活動の合間に、気分転換として参加したこの教室で、彼女は初めてオンジウムという花に出会った。 「可愛い…なんか、元気をくれる花ですね」 隣の席に座っていた青年・蒼汰(そうた)が、ふと声をかけてきた。 「僕もそう思いました。…なんか、踊ってるみたいで、見てると楽しくなる」 彼は美術系の大学に通う学生で、花音とは違う分野だったけれど、どこか波長が合うような感覚があった。 それから、二人は毎週の教室で顔を合わせるようになった。オンジウムのように軽やかに、少しずつ距離を縮めていった。 ある日、蒼汰が言った。 「花音さんって、名前も花みたいですね。…オンジウムに似てるかも。明るくて、でも繊細で」 花音は照れながら笑った。 「蒼汰さんこそ、絵を描くときの集中力、すごいですよね。…花と向き合ってる感じがする」 蒼汰は、少しうつむいて言った。 「実は、卒業制作で“踊る花”ってテーマで描いてるんです。…オンジウムを見て、インスピレーションが湧いて」 「それ、見てみたいです」 「完成したら、見せます。…約束です」 その言葉が、花音の胸に小さな灯をともした。 春が深まり、教室も最終回を迎えた日。蒼汰は、花音に一枚の絵を差し出した。 「これが、僕の卒業制作。…オンジウムと、踊る人。モデルは…花音さんです」 絵には、黄色い花々の中で、軽やかに舞う女性の姿が描かれていた。その表情は、まるで春の風そのものだった。 「…私?でも、そんなに踊れないですよ?」 蒼汰は笑った。 「踊ってるように見えたんです。花と一緒に、心が動いてる感じ。…だから、描きたくなった」 花音は、胸がいっぱいになった。 「ありがとう。…すごく嬉しいです」 蒼汰は、少し照れながら言った。 「これからも、花と一緒に踊ってくれますか?僕と」 花音は、オンジウムの花を見つめながらうなずいた。 「はい。…一緒に、軽やかに」 それから二人は、花と絵を通してつながり続けた。休日には植物園へ行き、季節の花を眺めながらスケッチをしたり、アレンジメントを楽しんだり。オンジウムのように、明るく、協調しながら過ごす日々が続いた。 そして一年後の春。カルチャーセンターでは、蒼汰の個展が開かれていた。 「花音さん、今年もオンジウムを描きました。…今度は、二人で踊ってる絵です」 花音は、絵の前で立ち止まり、そっと手を握った。 「私たち、ずっと踊っていこうね。花と一緒に」 オンジウムの花が、春の光の中でふわりと揺れ、二人の未来をやさしく祝福していた。 |
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1月15日の誕生花はオンシジウムです。オンシジウムはラン科の多年草で、ヒラヒラとした見た目が印象的な花です。品種が多く、その数は400以上にも登ります。小さな花をたくさんつける小輪種から、ボリュームのある大輪種までさまざまで、カラーバリエーションも豊富です。