Tweet 短編小説 誕生日の花をテーマに短篇小説を作成 『ピンクのカーネーション』 http://nspc.kojyuro.com/0111.html
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![]() 誕生花 ピンクのカーネーション 花言葉 「美しい仕草」、「女性の愛」、「温かい心」 1月11日の誕生花はカーネーションです。カーネーションは1月全体の誕生花ですが、1月11日の誕生花にはピンク色のカーネーションが設定されています。ピンク色のカーネーションには感謝の気持ちが込められているので、プレゼントにもピぴったりですよ。 ![]() |
『ピンクのカーネーション』五月の風がやわらかく吹く午後、商店街の一角にある花屋「ル・フルール」では、母の日に向けてピンクのカーネーションが所狭しと並んでいた。 花屋で働く美咲(みさき)は、カーネーションの香りに包まれながら、ふと昔のことを思い出していた。 大学時代、同じゼミにいた直人(なおと)という青年。真面目で不器用だけど、どこか放っておけない人だった。 ある年の母の日の前日、直人が突然花屋に現れた。 「ピンクのカーネーションって…母の日に合いますか?」 「もちろん。花言葉は“感謝”や“温かい愛”ですよ」 そう答えた美咲に、直人は少し照れたように言った。 「母親に贈るのは初めてで…なんか、気恥ずかしくて」 その姿が、なんだか可愛らしくて、美咲は思わず笑ってしまった。 「きっと喜びますよ。お母さん、優しそうですもんね」 「…うん。ありがとう」 それから毎年、直人は母の日の前になると花屋にやってきて、ピンクのカーネーションを買っていった。 「今年も来たんですね」 「うん。なんか、恒例になっちゃって」 そんなやりとりが、二人の小さな春の風物詩になっていた。 けれど、ある年を境に、直人は来なくなった。 美咲は理由を聞けなかった。ただ、ピンクのカーネーションを見るたびに、彼のことを思い出していた。 そして今年の母の日の前日。閉店間際の花屋に、懐かしい声が響いた。 「…まだ、ピンクのカーネーション、ありますか?」 振り返ると、そこには少し大人びた直人が立っていた。 「直人さん…!」 「久しぶり。…来られなくて、ごめん。母が、亡くなったんだ。去年の春に」 美咲は言葉を失った。けれど、直人の表情はどこか穏やかだった。 「でも、今年も贈りたくて。母の仏壇に。…それと、もう一つ」 直人は、もう一束のピンクのカーネーションを手に取った。 「これは…美咲さんに。毎年、ここで花を選ぶ時間が、僕にとってすごく大切だった。…ありがとうって、ちゃんと伝えたくて」 美咲の胸に、あたたかいものが広がった。 「私も…毎年、直人さんが来るのを楽しみにしてました。あなたが花を選ぶ姿、すごく優しくて」 |
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1月11日の誕生花はカーネーションです。カーネーションは1月全体の誕生花ですが、1月11日の誕生花にはピンク色のカーネーションが設定されています。ピンク色のカーネーションには感謝の気持ちが込められているので、プレゼントにもピぴったりですよ。