Tweet 短編小説 誕生日の花をテーマに短篇小説を作成 『ラナンキュラスの約束』 http://nspc.kojyuro.com/0120.html
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誕生花 ラナンキュラス 花言葉 「華やかな魅力」、「魅力的」 1月20日の誕生花はラナンキュラスです。ラナンキュラスはキンポウゲ科の多年草です。幾重にも重なった明るい花びらが可愛らしい秋植えの球根で、近年ではさまざまな園芸品種が登場しています。薄紙のように繊細で幾重にも重なった花が開く姿は透明感がありとても魅力的です。 ![]() |
『ラナンキュラスの約束』春の風が街をやさしく撫でる頃、駅前の花屋「ル・ソレイユ」では、色とりどりのラナンキュラスが並び始めていた。赤、ピンク、黄色、白…幾重にも重なる花びらが、まるでドレスの裾のようにふわりと揺れている。 花屋で働く千紘(ちひろ)は、ラナンキュラスの季節になると、決まってある記憶がよみがえる。 大学時代、卒業制作展で出会った青年・蒼(あおい)のことだった。 彼は美術学部の学生で、繊細な色使いと静かな情熱を持っていた。千紘は文学部で詩を書いていて、展示会では彼の絵と自作の詩を並べて展示することになった。 「この花、ラナンキュラスって言うんですね。…詩と絵にぴったりだと思って」 そう言って、蒼が持ってきたのが、ピンクのラナンキュラスだった。 「花言葉は“とても魅力的”。…千紘さんの詩に、ぴったりだと思って」 その言葉に、千紘は胸が高鳴った。 それから、展示の準備を通して二人は少しずつ距離を縮めていった。静かな会話、作品への思い、花の香り。春の光の中で、心が少しずつ開いていくのを感じていた。 けれど、卒業後、蒼は海外の美術大学へ進学することになった。 「離れても、作品を通してつながっていたい。…いつか、また一緒に展示会を開こう」 そう言って、彼は再びラナンキュラスを贈ってくれた。 「この花、毎年咲くから。…君の魅力も、きっと変わらない」 千紘は、その言葉を胸に刻み、彼を見送った。 それから数年。千紘は花屋で働きながら、詩を書き続けた。窓辺には、毎年ラナンキュラスを飾り、蒼との約束を思い出していた。 ある春の日。花屋に一人の男性が現れた。 「…ラナンキュラス、まだ飾ってるんですね」 その声に、千紘は振り返った。 「…蒼さん?」 そこには、少し大人びた表情で、でも変わらぬ優しい目をした蒼が立っていた。 「帰ってきました。…約束、果たしに」 千紘は、胸がいっぱいになった。 「ずっと、待ってました。…この花と一緒に」 蒼は、ポートフォリオを差し出した。 「これ、僕の新作です。…君と一緒に展示したくて」 千紘はページをめくりながら、涙をこらえた。 「私も、詩を書いてました。…あなたと並べる日を夢見て」 それから二人は、共同展示会の準備を始めた。作品を並べ、空間を彩り、ラナンキュラスを中心に据えた。 展示会の初日。ギャラリーには、春の光と花の香りが満ちていた。 「千紘さん、これからも一緒に作品を作っていきたい。…詩も、未来も」 蒼の言葉に、千紘は笑顔でうなずいた。 「はい。…あなたとなら、どんな季節も咲かせられる」 ラナンキュラスの花が、春の風に揺れ、二人の未来をやさしく祝福していた。 |
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1月20日の誕生花はラナンキュラスです。ラナンキュラスはキンポウゲ科の多年草です。幾重にも重なった明るい花びらが可愛らしい秋植えの球根で、近年ではさまざまな園芸品種が登場しています。薄紙のように繊細で幾重にも重なった花が開く姿は透明感がありとても魅力的です。